コンテンツへスキップ

カート

カートが空です

中村大地

なぜ私は、19世紀末の版画を扱うのか

19世紀末のヨーロッパ、
とりわけベル・エポックの時代に生まれたポスターや版画は、
本来、美術館の中に閉じられるものではありませんでした。

それらは街に貼られ、人々の目に触れ、
日々の暮らしの中で生きていた芸術です。

私は、その在り方に強く惹かれました。

芸術とは、特別な場所にあるものではなく、
本来は、もっと身近なものだったのではないか。

100年以上前の紙に刷られたイメージが、
いまの空間に静かに溶け込むとき、
時間を越えた美しさが立ち上がります。

その感覚を、ひとつずつ確かめながら、
作品を集め、紹介しています。


どのように作品を見極めているか

アンティーク版画には、油彩画のような個別の鑑定書が付属することはほとんどありません。

だからこそ重要なのは、
何を基準に「本物」と判断するのかです。

私が作品を扱う際には、主に以下の点を確認しています。

  • 印刷技法(リトグラフ、活版、木版など)
  • 紙質と経年変化(繊維、厚み、ヤケの出方)
  • インクの状態(当時の印刷特有の乗りやにじみ)
  • 流通経路(どのディーラー・市場を経てきたか)
  • 出典(掲載誌・作品集などの一次資料との整合性)

これらを総合的に見ながら、
単に古いだけではなく、
当時に制作された真正な作品であるかどうかを判断しています。


収集とネットワークについて

作品は主にフランスおよび欧州のディーラー、オークションを通じて収集しています。

現地で長く扱われてきた市場には、
作品ごとの履歴や取り扱いの蓄積があります。

そうした流れの中で出会ったものを、
一点ずつ確認しながら日本へ紹介しています。

机上の知識ではなく、
実際の市場の中で流通してきた作品に触れること。
それが、判断の精度を高めると考えています。


研究・著作・講演

19世紀末の版画文化、とりわけ
スタンランを中心とした研究をライフワークとしています。

著書に『黒猫の漫画家スタンラン』(2024年・文芸社)。
展覧会の解説や専門誌の監修などを通じて、
当時の印刷文化や芸術の背景を伝える活動を行っています。

主な講演:

・「スタンランの文字のない物語」
 ―ジャーナル・ル・シャノワールにおける役割とその広がり(筑波大学

・「黒猫を描いた画家スタンラン
 ―生涯と同時代の芸術家たち」(大森東図書館)

研究と実務の両面から、
作品と向き合っています。


美術館との関係

取り扱い作品は、
東京国立博物館
大英博物館をはじめとした展覧会への貸出実績があり、
また多くの美術館ともお取引をさせていただいております。

美術館における展示は、
作品の価値を再確認する機会でもあり、
同時に、選定の基準を見つめ直す場でもあります。

そうした経験を通じて、
市場と研究の両側から作品を捉えています。


作品は「誰から買うか」が重要です

アンティーク版画は、同じ図柄であっても、
状態や来歴によって価値が大きく異なります。

だからこそ、作品そのものだけでなく、
誰が選び、どのように扱っているかが重要になります。

リボリアンティークスでは、
単に古い作品ではなく、
美術的価値と資料性を備えた一点のみをご紹介しています。

安心して長く手元に置いていただける作品を、
これからも丁寧にお届けしていきます。

価値・本物・物語等、ご質問ございましたら
お気軽にお問い合わせください。
誠心誠意お応えさせていただきます。

中村大地