オーブリー・ビアズリー ≪たまゆらのピエロ≫ 1900年頃 『たまゆらのピエロ』扉絵より

本作は1896年に刊行された、アーネスト・ダウスン詩集『たまゆらのピエロ（Pierrot of the Minute）』の扉絵として描かれた一枚です。
ヴェルサイユ宮殿の庭を舞台にした幻想的な物語の幕開けにふさわしく、月光を浴びた静かな庭園と、そこに佇む若きピエロの姿が印象的に描かれています。

ピエロは、プティ・トリアノンの愛の殿堂（Temple de l’Amour）にあるキューピッド像の前に現れ、やがて「月の乙女」と出会い、一夜の夢のような恋に落ちます。
しかし夜が明けると彼女は姿を消し、物語は儚さのうちに閉じられます。

本作に描かれたピエロの表情と静かな庭の描写には、夢と現実、生と死の境界を揺らめくような詩情が漂います。
細密な植物描写、点描で表された茂みや彫像──ビアズリーの技術と詩的想像力が融合した傑作のひとつです。

ビアズリーが1898年に亡くなった後、代表作『サロメ』などを出版したジョン・レーン社によって制作された追悼画集に本作は収録されました。
当時に制作されたオリジナルのアンティーク版画です。

作品情報

• 画家：オーブリー・ビアズリー

• 作品名：たまゆらのピエロ（Frontispiece for Pierrot of the Minute）

• 制作年：1900年頃

• 技法：ラインブロック（線描印刷）

• サイズ：作品 約28.4 × 21.3 cm
  （※額装は含まれておりません）

• Artist / Title：Aubrey Beardsley / Frontispiece (Pierrot of the Minute)

• Plate 144 より

関連リンク

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