アルフォンス・ミュシャ ≪サロメ≫ 1902年 アンティーク絵はがき（直筆書簡入り）

芸術を贈り、集め、記録する──19世紀末の美しき習慣を伝える一葉。

アルフォンス・ミュシャ（Alphonse Mucha）が描いた≪サロメ≫は、聖書の舞姫を主題としながらも、エキゾチックな衣装としなやかな動きによって、象徴的で魅惑的な女性像へと昇華させた作品です。円形のフレームを抱える姿と、繊細な衣装装飾の中に、アール・ヌーヴォーならではの優雅な曲線が息づいています。

この絵はがきの真の価値は、その裏面に綴られた直筆の書簡にあります。1902年12月17日、フランス西部の村コルドメ（Cordemais）で記されたメッセージには、こう記されています──
「これはコレクションに加えるために送るもの。おそらくあなたのお母様が書いた最初のカードで、おば様も懐かしく思うでしょうね」。

つまりこの一枚は、すでに1902年の時点で「絵はがきを集める」という文化が存在していたことを物語る、稀少な証言資料でもあるのです。書き手のマリーは「Bon souvenir à toute la famille（ご家族皆様へよい思い出を）」と結び、芸術を贈りあう行為が、ごく自然に暮らしの中で営まれていたことが伺えます。

美術品としての完成度と、当時の生活文化を今に伝える記録性とをあわせもった、まさに“生きたアール・ヌーヴォー”の記憶です。

画家：アルフォンス・ミュシャ（Alphonse Mucha）
作品名：サロメ（Salomé）
制作年：1902年頃
状態：アンティーク絵はがき　直筆書簡あり（1902年12月17日付）
サイズ：約14 × 9 cm

Artist / Title：Alphonse Mucha / Salomé (Antique Postcard, ca.1902)

※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
※筆記あり

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作品を詳しくお知りになりたい方はリボリアンティークスの特集ページ（別サイト）をご覧ください。

ミュシャの絵はがき入門｜チノ版・ジョブ版ほか全タイプと歴史をやさしく解説（別サイト）

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