


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第2部第2章】(両面 No.107&108)
東方での巡礼の旅を終え、聖なる歌を口ずさみながら帰還した者たちが、ようやく城の広間へと足を踏み入れます。彼らを待ち受けていたのは、長い別離に心を震わせるジャウフレ。その胸に飛び込むように集う巡礼者たちの瞳には、涙が溢れていました。その涙は悲しみか、それとも言葉にできぬ感動か──。
作品解説
この章は、巡礼の旅から帰ってきた使徒たちとジャウフレの再会を描いています。祈りと聖歌の余韻を引き連れて登場する彼らの姿に、ページ上部の装飾もまた厳かな感情を添えています。円形に囲まれた場面では、ジャウフレが巡礼者たちを抱きしめ、その頬には涙の跡が見て取れます。背景には鳥の連なりと麦穂が配され、実りと再会、そして信仰の成果が象徴されています。
最年長の巡礼者の言葉は、旅がもたらした静かな奇跡と、異国の地で感じた神の恩寵を語り、ジャウフレへの深い信頼がにじみ出ています。そして続く108ページでは、巡礼者たちがジャウフレに旅の報告をする中で、異国の空の美しさや星降る夜の静けさ、そして“トリポリの姫”との邂逅を語ります。
彼らは姫君の声の甘やかさ、まなざしの輝きをいまなお忘れず、彼女を「遠き地に光をもたらした者」として讃えます。この描写により、イルゼの存在が伝説的な“福音”としてジャウフレのもとへ届くのです。時と距離を超えて記憶される慈愛と美しさ──その余韻が、アール・ヌーヴォーのしなやかな装飾とともに、紙面に深く刻まれています。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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