


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第3部第3章】(両面 No.123&124)
長き旅路を終えた魂が、ついに静謐の中で交わす別れの言葉——。
第3部第3章では、ついに主人公ジャウフレとイルゼ姫の別離が訪れます。夕映えのように柔らかく、夢幻のように優しい筆致で描かれるこの場面は、二人の魂の交感と、夢から目覚めゆく瞬間の儚さを静かに伝えます。
作品解説
123ページでは、満天の星に包まれた幻想的な情景の中、姫とジャウフレが互いの手を取り合い、静かな別れが訪れます。姫の差し出した手は「老いた魂を若返らせる」ほどの慈愛に満ち、彼はその手を目に当て、夢の中で死と再生の境界を行き来します。ページ上部には、太陽と月を思わせる円形のモチーフの中に、背中を向けた二人の裸体が寄り添い、彼岸と此岸のあわいにある時間を象徴的に描いています。
124ページでは、夢から目覚めたジャウフレが「おお、夢の貴婦人よ」と語りかける場面が展開されます。その声は静寂を破り、再び目を開いた彼が語るのは「記憶と希望」への礼賛でした。「我々は夢の中で後悔しない」と語るこの告白は、希望の記憶が人を生かす力になるという本作のテーマを象徴しています。ページ上部には、空に向かって髪をなびかせる女神のような女性像が描かれ、夢から現実へと還る魂の高揚感を視覚的に支えています。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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