


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第3部第3章】(両面 No.125&126)
イルゼは騎士ジャウフレの亡骸を前に、穏やかなまなざしで花のヴェールを手に取ります。
それは彼女の愛が生み出した花々──野ばらとすみれ、そして祈りの香気──で満たされた布。
彼女はその一枚一枚に、遠く離れていた時にもなお育んできた想いを込めていました。
作品解説
この場面は物語の終盤、騎士ジャウフレの最期を看取ったイルゼが、その亡骸を静かに見つめ、花々で覆うシーンを描いています。
イルゼの語る花の由来は印象的で、それは彼女自身の手で蒔かれ、育てられたものであり、
遥か地中海を越えた地で、彼の魂に呼応するかのように静かに咲き続けていたのです。
挿絵では、横たわる騎士とそれに寄り添う女性たちの姿が、周囲に咲き乱れる花々とともに繊細に描かれています。
縁飾りのモチーフは鳩やアカンサス風の植物で構成され、死と再生、愛と献身のテーマを象徴的に際立たせています。
イルゼの語りは詩そのものであり、「花には声がある──遠くの、静かに厳かな声が──私はその声に従いました」という最後の一節は、
この物語の幕引きにふさわしい、内なる信仰と愛の力を感じさせる印象的な締めくくりとなっています。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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