


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第1部第2章】(両面 No.19&20)
冬の夜を照らすものは、ただ炎ばかりではない。
森のざわめき、星々の配列、そして書物のページが、若き魂の奥底に火を灯す。
第1部第2章では、主人公ジョフレの内面世界が、壮麗な自然描写と共に語られてゆきます。
静けさと叙情に満ちたこの場面は、戦場ではなく、書物と沈思の中にある一つの「騎士道」を私たちに示してくれるのです。
作品解説
この場面は、物語におけるジョフレの知性と感受性を際立たせる印象的な章です。
満天の星を眺める若者の背中と、神秘的な女神像のような〈森の福音書(Évangile)〉の図像が、宗教と自然、神秘と知への希求といったテーマを詩的に浮かび上がらせています。
ジョフレは学問に没頭し、星々の運行や神秘の記号に美と真理を見出す存在として描かれます。とりわけ、「森はわたしの悔悛の友(ma pénitente amie)」という言葉が象徴するように、大自然が書物のように彼に語りかけ、彼はそこから知恵や慰めを引き出すのです。
この章の叙述には、ミュシャの装飾が果たす視覚的な役割も見逃せません。挿絵には、天文学的象徴や植物的モチーフが織り込まれ、テキストと響き合う「読まれる絵画」としての機能を果たしています。こうした構成は、本書全体の詩的・象徴的世界観を際立たせる要素となっており、ミュシャが視覚芸術で到達した一つの到達点とも言えるでしょう。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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