


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第1部第2章ラスト】(両面 No.25&26)
その名は存在しない。あるいは、あまりに遠く、触れ得ぬがゆえに、美の本質としてただ在る──
夢のなかで語られた、地上のすべてを超える存在。それは、言葉では語りえない「彼女」。
詩と音楽が交差するとき、静寂のなかからあらわれる、魂の微笑のような幻影です。
作品解説
この場面は第1部第2章のクライマックスにあたり、語り手ジャウフレの内なる幻想と、芸術的な霊感の源泉がひとつに融け合う瞬間を描いています。彼の心に住まう「彼女」は現実の女性ではなく、名前すら持たない超越的な存在──詩と音楽、夢と理想の象徴として現れます。
挿絵では、竪琴を奏でる人物と、その音色に呼応するかのように横たわる裸婦が描かれ、音楽と幻影の一体化を象徴します。上部には繊細な眼のモチーフが連なり、内的な洞察や夢の視覚化を思わせます。下部には飛翔する鳥たちがあしらわれ、自由な魂の飛翔、あるいは芸術の霊感が広がるさまを暗示しています。
このページは『イルゼ』全体に通底する「見えざるものへの憧れ」「芸術の神秘」といった主題を象徴的に示しており、幻想と現実の境界が音もなく溶けてゆくような静けさと余韻に満ちています。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
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