

アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第2部第1章】(両面 No.55&56)
少女たちの笑い声と、遠くに広がる金色の浜辺。
イルゼの涙を、誰が知るだろう──。
物語は、プリンセス・イルゼと若い娘たちの無邪気な語らいから始まります。
けれど、そのなかでたったひとり、波の彼方を見つめる者がいました。
作品解説
第2部第1章、55–56ページでは、イルゼとその侍女たちが浜辺へ向かい、海辺での束の間の憩いが描かれています。波打ち際で交わされる軽妙な会話は、まるで夏の光に反射する水面のように明るく、絵本の一場面のような楽しさに満ちています。
しかしながら、ページをめくるごとに物語の陰影が少しずつ忍び寄ってきます。
娘たちが笑い声を交わす一方で、イルゼのまなざしは遠く海の向こうへと向けられ、彼女の心がすでに夢のなかにあることを暗示します。
「わたしの庭のバラとスミレ、──それは彼のために育てたもの」
この後の展開を予感させるように、イルゼの哀しみと静かな決意が、まるで海辺の風に混じるように淡く描かれています。
アール・ヌーヴォーの装飾に彩られた挿絵は、軽やかさと憂いを同時に宿し、このページにただよう二重性──「無邪気」と「哀しみ」──を際立たせています。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
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