


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第2部第1章】(両面 No.57&58)
潮風にゆれる絹のような声とともに、少女たちは砂浜をかけていた。白い肌が陽光に濡れ、海の気まぐれに揺れる波間に、笑い声としぶきが溶けていく。少女テンティラのまなざしは、誰よりも静かに、そのひとときを夢見ていた──。
作品解説
この場面は『トリポリの姫君イルゼ』第2部第1章において、少女たちの入浴前の戯れを描いた一節を彩る挿絵です。物語では、テンティラとその友人たちが海辺で水浴びを楽しむ様子が繊細に描写され、嫉妬、友情、憧れといった感情が交差します。
No.57の挿絵では、水浴びに向かう女性たちの姿が印象的に描かれ、やわらかな裸身は恥じらいと躍動のあいだをゆらぎます。ミュシャは、たなびく衣と鳥の群れを装飾的に絡めることで、海と空、自然の生命感をひとつの詩的世界として表現しています。
No.58では、テンティラが他の少女たちの無邪気な言葉に涙し、静かに衣を脱ぎながら波打ち際へ向かう瞬間が描かれています。背中から描かれたその姿は、無垢と感情の成熟が同居する象徴として、美しく儚い。背景に繰り返される植物文様や波の装飾は、アール・ヌーヴォー様式の特徴である自然との調和を讃え、ミュシャならではの幻想性を加えています。
この一場面は、単なる日常の情景を超え、若き感性の目覚めと、感情の繊細な揺らぎを視覚化した詩的な瞬間といえるでしょう。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
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