


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第2部第1章】(両面 No.59&60)
夢と現実の境界がかすむような、幻視的な光景──
この場面では、入浴する侍女たちを静かに見守る姫君イルゼの姿が描かれます。
その視線には、凛とした静けさと哀しみが宿り、物語は彼女の内面へと静かに沈潜していきます。
作品解説
ページ59では、波打ち際に座すイルゼの登場によって、無邪気な侍女たちの空気が一変します。花を思わせる図案で囲まれた装飾の中、彼女の瞳は「地上が見るにふさわしくないほどに澄み、鋼のように冷たく、慈悲に満ちていた」と語られます。まるで幻想の彼方からやってきたかのような存在感──その美しさと哀しみは、サハラの果てに咲く幻の花のように、読者を静かに魅了します。
ページ60では、ミュシャならではの装飾性に満ちた構図が現れます。金と紫の幕の間からあらわれた姫は、白い薄衣をまとい、海の吐息のような軽やかさで描かれます。彼女の頭には、青く燃えるような光をたたえたオパールの宝冠が置かれ、髪は海藻のように揺れる――その姿は、自然と神秘とが交差する「もうひとつの世界」に属しているようです。
「空だけが彼女にとって意味を持ち、地上のあらゆる青さはその目に宿っていた」
と締めくくられるこの描写は、イルゼという人物が単なる姫ではなく、神秘と哀愁を帯びた精神的存在であることを暗示します。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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