


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第2部第1章】(両面 No.63&64)
金色のヒマワリに彩られた63–64ページでは、イリゼとその友人ジェルダが夜の対話の中で心の奥底を静かに開いていきます。燃えるような装飾に囲まれながら、語られるのは“結婚”という現実的な課題と、そこから逃れたいという繊細な魂の苦悩。言葉を交わす二人の姿は、夕暮れに咲く花のように、儚くも芳しく、胸に沁み入る情感をたたえています。
作品解説
この場面では、イリゼが父の望む結婚への葛藤をジェルダに打ち明けます。彼女の語りは、単なる拒絶ではなく、夢と現実のはざまで揺れ動く“詩的な魂”の告白に近いものです。
「目にヴェールをかけるような悲しみ」や「すべての喜びの中に咲く小さな花のような魂」という比喩は、イリゼの内面が現実の制度に馴染めない詩的気質であることを物語っています。
ジェルダはそんなイリゼを素直に愛し、「わたしには理解できない。でも、あなたを愛してる」と言葉をかけます。その無垢な愛の表明に、イリゼは微笑みながら「それでいいのよ」と応える──この静謐なやりとりは、まるで百合の香りのような純粋な友情と愛を象徴しています。
ページを飾るイラストもまた、その心情と呼応しています。63ページには天を仰ぐ女性像、64ページには寄り添う二人の姿が描かれ、感情の交差が視覚的にも詩情豊かに表現されています。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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