


アルフォンス・ミュシャ『トリポリの姫君イルゼ』挿絵【第2部第2章】(両面 No.73&74)
三人の騎士たちが名乗りを上げたのち、物語はついにイルゼ姫の登場へと移る。祈りと瞑想の日々を経て、静かに語られるエルデリウスの言葉。そして、重々しい儀式のように、イルゼは父の前にひざまずく──彼女の選択が、物語を次なる局面へと導く。
作品解説
この章ではまず、三人の騎士のうち最初の人物「エルデリウス」が自らの過去と信仰の歩みを語ります。かつて情熱に焼かれた彼は、長い沈思黙考の末に平穏を得たと述べ、「知恵と節度こそ真の幸福である」と説きます。その姿は、騎士道というより修道士に近い印象を与え、イルゼの幻想的なヴィジョンとは対照的です。
続く場面(p.73)は、ついに姫君イルゼが登場する重要な転換点です。彼女は「姫」の称号を実際の血統ではなく妖精の庇護を得るための方便として用いていたことが明かされ、幻想と現実の境界をあいまいにします。父である領主は、三人の騎士のうちから伴侶を選ぶよう娘に諭しますが、その言葉には中世的な封建倫理と近代的な自己決定のはざまで揺れる家父長の姿も垣間見えます。
装飾にも注目すべき点があります。エルデリウスの場面(p.74)では、彼の背景に金色の星々と幾何学模様が配され、彼の語る「知の光」と内的静けさを象徴。一方でイルゼの登場場面(p.73)では、天蓋と聖人図像に囲まれた場面構成が、彼女を儀礼の中心に据える演出を行っています。ひざまずく姫の姿は、ただの従順ではなく、今後の物語における能動的選択の前兆とも読めるでしょう。
この作品は、1901年にドイツ語で出版された豪華挿絵本『トリポリの姫君イルゼ』に収録された1枚です。
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作品名:「トリポリの姫君イルゼ」より挿絵
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画家:アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha, 1860–1939)
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制作年:1901年
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技法:カラーリトグラフ(両面印刷)
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サイズ:約 30×20cm(紙面)
※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。
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