テオフィル・スタンラン ≪かわいそうな子ネズミ≫ 1898年 『猫たち』より アンティーク版画

子ネズミ一匹に、猫が三匹──スタンランが描く、静かで過酷な命のドラマ。

テオフィル・スタンラン（Théophile-Alexandre Steinlen）は、19世紀末のパリを舞台に、猫たちの日常を豊かな観察眼で描いた「猫の画家」として知られています。本作≪かわいそうな子ネズミ（La Pauvre petite Souris!）≫は、1898年刊行の画文集『猫たち（Des Chats）』に収録されたサイレント漫画の一作。

3匹の猫たちは、仕掛けに捕らえらたネズミに興味津々。好奇心いっぱいに遊ぶうち、扉が空き逃げだす一匹の小さなネズミ。しかしすぐに捕まってしまい、猫たちの遊び相手にされてしまいます──。

次第に激しくなる猫たちの動き。戯れなのか、狩りなのか。ネズミが翻弄されていく様子が、静かなユーモアと残酷さをまじえて描かれます。最後の一コマ、猫の爪に押さえつけられたネズミの姿は、言葉のないこの漫画の中で最も強い沈黙を語っています。

擬人化ではなく“猫のまま”描かれた動物たちのリアルな姿に、スタンランの視線の鋭さとやさしさがにじむ、印象深い一作です。

作品情報

画家： テオフィル・スタンラン（Théophile-Alexandre Steinlen）
作品名： かわいそうな子ネズミ（La Pauvre petite Souris!）
制作年： 1898年
状態： アンティーク版画　1枚
サイズ： 約39 × 29 cm

Artist / Title： Théophile-Alexandre Steinlen / La Pauvre petite Souris! (Antique Print, 1898)

※画像中の額装は参考イメージです。額装につきましてはお問い合わせください。

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